害虫の分類
なすを食害するニジュウヤホシテントウ
野菜の害虫には葉や果実などの「地上部を食害するタイプ」と「地上部を吸汁するタイプ」、「地下部を食害や吸汁するタイプ」に分けられます。
地上部を食害するタイプは大部分が蛾や蝶の幼虫でアオムシ、ヨトウムシ、コナガ、オオタバコガ、アワノメイガなどがいます。
成虫が地上部を食害する害虫にはニジュウヤホシテントウ(成虫・幼虫とも)、コガネムシ、ハムシ類、ナメクジなどがいます。
地上部を食害する害虫
小松菜を食害するコナガ
コナガはアブラナ科の主要害虫で成熟した幼虫でも10mm程度にしか成長しない小型のイモムシで食害の特徴は葉の裏から透かして見えるように表皮を残して食害します。
ダイコンを食害するアオムシ
アオムシはモンシロチョウの幼虫で野菜ではアブラナ科だけを食害し、春先から初夏にかけて加害が急増します。
成虫の飛来を防止する方法として、キャベツの畝間にムギ類を植えることで、成虫がキャベツを見つけにくくなることが知られています。
キャベツを食害するヨトウムシの3〜4令幼虫
ヨトウムシ類は蛾の仲間で種類も多く、ほとんどの野菜を食害する害虫で成熟した幼虫は夜間に食害を繰り返すので見つけづらい。
幼虫が成熟すると夜間の食害もひどくなるので、成虫が産み付けた卵塊もしくは若い幼虫の時期に捕殺します。
オオタバコガはトウモロコシやナス科の野菜を食害する害虫で若い幼虫が若い果実に小さな穴をあけて侵入し内側から果実を食害します。
トマトやナス、ピーマンの果実をよく観察して、表面に小さな穴が開いているようだと幼虫に食害されている可能性が高い。
アワノメイガはトウモロコシの主要害虫で成虫が雄穂に産卵して、幼虫が雄穂から侵入して雌穂に入り、子実(粒)を加害します。
雌花のひげがうす茶色になって受粉が確認出来たら、早めに雄穂の下から軸ごと切り取ることで加害を減らすことができます。
ハモグリバエの成虫
幼虫がほとんどの野菜の葉を食害する害虫で葉肉をトンネル状に食い荒らすことから「絵描き虫」とも呼ばれています。
食害は気温の低い時期でも日当たりの良い南側は気温が上昇しやすいので食害を受けやすくなります。
特にエンドウは早春に被害がひどくなると葉が枯れあがりと生育が停止するので、見つけたら早めに葉ごと除去します。
ハモグリバエの蛹
ハモグリバエは葉中で羽化するタイプと葉から抜け出た蛹が地表面や葉の表面で羽化するタイプがいます。
白菜などの葉の大きい野菜の場合は葉のくぼみや葉柄部に蛹がとどまっていることが多いので、見つけたら成虫になる前に捕殺します。
地上部を吸汁する害虫
ピーマンで増殖するアブラムシ
吸汁害虫は植物の葉や花、幼果から汁液を吸い取ることで爆発的に増殖し、生育の遅延や果実の奇形などを引き起こします。
種類はアブラムシ類やアザミウマ類、コナジラミ類、ハダニ類などで一部はウイルス病を媒介する場合もあります。
アブラムシ類はほとんどの野菜で増殖しますが、一部のアブラムシを除いて、寄生するアブラムシが野菜ごとに決まっています。
飛来は3月〜5月にかけて急増し、翅のないアブラムシが最初は下葉で増殖するので、見つけたら筆などで早めに払い落します。
アザミウマによるスイカの吸汁被害
アザミウマ類は体長1mm程度と小さな昆虫ですが、成虫や幼虫が多数加害することで葉が枯死したり、果実が奇形になることもあります。
吸汁被害は葉脈に沿って吸汁を繰り返すので、葉脈の周囲が黄化や褐変しやすく、病気と勘違いするような症状になることもあります。
ハダニによる四角豆の加害
ハダニ類はクモの仲間で体長は0.5mmと極小さく、高温乾燥を好むので、雨の当たらない場所で加害を受けやすくなります。
吸汁被害はハダニが吸汁しながら葉を下から上へ移動するので、葉が次々と黄化していく姿は病気と勘違いされやすい。
コナジラミ類は「ホワイトフライ」と呼ばれ、株を揺らすと白い粉が舞い上がる様に成虫が飛び出すことに由来している害虫です。
アブラムシやアザミウマに比べると直接的な吸汁被害は少ないですがウイルスを媒介するので要注意です。
地下部を加害する害虫
カブの根に侵入したダイコンシンクイムシ
根を加害する害虫にはセンチュウ類やコガネムシ類、ダイコンシンクイムシなどがいます。
コガネムシ類は成虫が多くの植物の花や葉を食害して、幼虫は根を食害します。
サツマイモやサトイモは大きな被害を受けやすく、未分解の有機物に産卵されやすいので、堆肥は完熟したものを使う必要があります。
センチュウ類は土壌中に住んでいる害虫で植物の根に侵入して、産卵と幼虫の卯かを繰り返しながら根に寄生します。
土壌中のセンチュウは対抗植物であるマリーゴールドやコブトリソウを植えることでセンチュウの数を減らすことが知られています。